日本にはGattosoがいないと、決勝を前に嘆いたが、イタリアーフランスの決勝を見ていて、日本の弱点は脆弱なDFでも決定力のないFWでもなく、MFにあるんだと改めて感じた。
黄金の中盤と呼ばれた日本のMF陣は弱い。
というと、叱られそうだが、上手い下手と、強い弱いは別のものなのだ。
世界リフティング選手権とか、某サッカー番組のような○○バナナ選手権をやれば、日本のMF陣はいいところへ行くのだろう。プレッシャーのないところでの技術は世界でもトップを争うだろうと思う。
しかし、弱いものは弱いのだ。
その弱さはどこから来るのか?
それを考える前に『ボランチ』という言葉を考えたい。この言葉はブラジルと日本のサッカー界のみで使われる言葉だ。しかも、ブラジルと日本では意味が違うように思う。日本では中盤の底にいるMFをボランチというが、これはブラジルのボランチの意味とは一致しない。ましてやイングランドのLampardやGerrardをボランチというのはもってのほかで、全く異質のものなのだ。だから、私はボランチという名前を使わなかったし、これからも使わない。
話はそれるが、ここでこのポジションについて少し整理してみたい。
LampardやGerrardはボランチではなく、CMF(セントラルミッドフィルだー)なわけだ。イングランドは4-4-2のシステムを取るが、DFもMFも一直線にラインを取る。だから、トップ下のポジションもないし、DMF(ディフェンシブミッドフィルダー)もないのだ。CMFというポジションは、いわゆるミッドフィールドを縦に動くポジションで攻守の切り替えが早くないと勤まらないポジションなのだ。だから、プレミア1年目の中田ヒデが十分なフィジカルとスピードを持っていると思われる中田ですら、ボルトンのアラダイス監督から『スピードが足りない』と言われるのだ。つまり、イングランドという国はリーグも代表もイタリアだけでなく、世界で4-4-2を取るところとは全く異質な形態を取っているといえる。
日本のMFを形成したのは、攻撃を担う俊輔と、小笠原、そして守備的といわれるポジションに中田ヒデと、福西というパターンなのだが、いわゆる中盤の底というポジションについて考えると、このヒデ、福西のほかには、遠藤、稲本、小野と全部で5人いることになる。
さて、ここでイタリアやもしくは同じく決勝を戦ったフランスに目を転じてみたい。
イタリアの中盤の底は前述のGattosoとPirloがコンビを組んでいるが、Pirloはいわゆるレジスタと言われる役割であり、中盤の底から攻撃を組み立てるポジションである。つまり、中盤の底にいながら前を向いている選手だといえる。一方のGattosoは中盤の底にいて、後ろを見ている選手だといえる。Gattosoの凄さは、中盤の底で、相手の攻撃の第1波を押さえ、Grosso、Perrotta、Zambrota、Camoranesiといったサイドの選手が上がった穴を埋め、勇気を持って前で勝負するCannavaroのカバーまでしてしまう守備範囲の広さにあるといえる。つまり、この二人は同じ位置にいながらにして、役割は全く違うわけだ。
一方のフランス。中盤の底を支えるのは、彼が抜けてBeckhamが入ってからレアルが優勝できなくなったというMakeleleと、Zidaneが帰ってくるまでの主将であったVieiraがコンビを組む。MakeleleはGattosoと同じような役割だが、Vieiraは半分守備、半分攻撃という感じで、イタリアよりもフランスの方がより守備的と言う印象を持つ理由がVieiraとPirloの役割の違いにあると思われる。Vieiraの役割は主に守備にあるのだが、チャンスだと思えば前線に飛び出してシュートまで放つわけだ。フランスのゲームプランが崩れたのはこのVieiraが負傷退場したことにあるのだろうと思う。
つまり、この両チームは非常にバランスが取れた中盤の底だと言えるのだが、振り返ってみて日本を見てみると、ヒデ、小野はもとよりPirloタイプのMFだし、福西は元々FWであり、攻撃力の高いMFで、タイプはPirloとは違うが攻撃的であると言える。遠藤もキリンカップでトップ下を務めたようにバランスを取りながら攻撃を見る選手だし、稲本は日韓大会で2得点を取ったように、彼の縦への突進はとても魅力的だ。つまり彼はVieira的であると言えると思う。従って結論を言えば、中盤で一番大切なGattosoやMakeleleタイプが居ないのだ。日本には伝統的にこのタイプが少ないように思うが、最近では日韓大会で稲本とコンビを組んだ戸田和幸がこのタイプだと思う。そういうことから考えるとトルシエという監督は中盤の底に関して言えば、今回のフランス的バランスを取ろうとしていたことが分かる。
結局のところ、Zicoは同じタイプのMFを集めてしまったが故に、バランスが取れないチームを作ってしまったのだと思う。宮本やサントスがいかにへまをしようとも、中盤の底にしっかりとした守備の意識のある選手が居れば、へまをする前に攻撃の芽を摘めただろうし、へまをした後のカバーをできただろうと思われる。そして、攻撃を組み立てる選手も安心して攻撃を組み立てることが出来るので、攻撃に人数をかけることができるわけだ。今回のイタリアがサイドバックまでが点を取れている理由はGattosoがカバーリングをしてくれるからということに尽きるのではないか?監督のLippiが攻撃的なチームを作るにあたって、一番必要だったのは、Tottiでもなく、Del Pieroでもなく、Gattosoだったのかもしれない。図らずも、不調のTottiが交代してもチームが機能することでこの事実を証明してしまったような気がするが、どうだろうか。
トルシエが目標としたサッカーはフラット3だが、この3人のDFのラインを高く保って、中盤をコンパクトにして、攻撃を早めるというものだったが、彼のこのコンセプトを実現するのが戸田の存在だったのだろう。
今回の日本のMFは、守備のバランスを取ることが出来なかった。それは毎回同じようなパターンで点を取られたことからも明白だろうと思う。勿論、MFだけの責任ではないんだけどね。従って、上手いが弱いという結論に行き着くのは間違いではないでしょう??
と、まあ過去ばかりを振り返っても仕方がないので、次を考えてみよう。
では、Osimジャパンとなって、この役割をどうするのか?
中田ヒデの離脱は確かに大きいし、痛手ではあるが、中田の後継者を探す前に必要なのは、日本のGattoso、日本のMakeleleを探すことだと思う。FWは柳沢でも高原でも、城でもいい(ウソ)。緊急を要するのはこのポジションだと思う。
では、誰が?・・・・・
今、私の心に浮かぶのは一人。
今度イタリアに移籍することが決まりそうな人。
五輪代表だった人。
といえばお分かりだろうか?
FC東京の今野だ。
彼は五輪代表において汗かき役で、山本監督に五輪出場のMVPは今野と言わしめた人物だ。
2010年のメンバーを考える上では、彼と、そして、闘莉王、松井大輔は外せないと思っている。この野球で言うところのセンターラインがしっかりすれば・・・南アフリカ大会出場の望みが出てくると思う。
あ、今の段階では出られるとはとても思えないのでw。
ちなみに、Gattosoの役割を今野がするならば、Pirloの役割を千葉の阿部にしてもらいたい。Osimが監督ということで、このポジションを彼のサッカーをよく理解している阿部が務める可能性はかなり高いだろうしね。そして、他に期待している若手は右サイドの徳永(FC東京)と、オランダで頑張っている平山かな。
今大会も若手、中堅、ベテランがかみ合ったチームが強かったことを考えると、2010年では上記のメンバーは中堅になっていると思う。若手はこれから発掘するとして、ベテランで期待したいのは、今大会のメンバーから言えば、GKの楢崎、川口の二人と、DF中澤。そして、意外かもしれないが中田浩。彼は、日韓大会では不動のレギュラー、そして今大会では控えと様々な経験を積んでいる。好き嫌いは別にして期待したい一人なのだ。
他のメンバーを考えると、特に豊富なMF陣を見ても、小野は故障が多く、フィジカルが決して強いとはいえないし、俊輔はハートが弱すぎる。今回もウィルス性の風邪を引いたとのことだが、集団で罹ったのならいざ知らず、彼一人が罹るのはメンタルが弱いからに他ならないと思う。フィジカルも弱いが、トルシエが彼のメンタルを理由にメンバーから外したのが理解できる(あ、トルシエを監督として決して評価しているわけではありません。どちらかと言えば、嫌いです。しかし、公平に見て、そうだと思うだけですのでw)。
さて、というわけで、日本代表にとって最も大事なのはGattosoを探すこと。監督にノド輪をぶちかまそうと、狂犬と言われようと、大切なのはこういう仕事が出来る人なのだ。Gattosoの名誉のために言えば、彼は確かに狂犬的プレーをするが、自陣ゴール前ではなかなかファールを犯さないという頭脳を持っている。これがポジションを考えないで慌ててファールをぶちかます日本人とは違うところなんだよねえ。
日本はGattosoを手に入れることが出来るのか?
これが2010年へ向けての課題だと思う。
最近のコメント